「このデザインなんか好き!」「おしゃれ〜!」
そう感じることってありますよね。でも、デザイナーとしてよく言われる質問がひとつあります。
「結局、“いいデザイン”って何?」
結論から言うと、
私が考える“いいデザイン”=目的をきちんと達成するデザイン。
美しい見た目は大事。でも、それは入口でしかありません。
今日は、実務で感じている「成果を出すデザイン」の考え方を、やさしくまとめてみました。
🎨 1. 見た目の美しさは“入口”にすぎない
今回、資料請求ボタンの見え方を比較するために、ボタンだけを変えた2種類のバナーを制作してみました。
A:背景と同系色のボタン(控えめ)
B:オレンジのボタン(強調)
写真・レイアウト・色・テキストなど、ボタン以外は完全に同じ条件にしています。
まず、Aのバナーは背景と同じ緑系の色を使ったことで、全体としての調和は取れているものの…
・ボタンが背景に溶ける
・視線がメイン写真で止まりやすい
・行動ボタンに“気づくまで”に時間がかかる
といった特徴があり、控えめな印象になります。
では、こちらはどうでしょう。
これまで使っていないオレンジをアクセントとして使用。
・画面全体の中で一番強く視界に入る
・メインの行動(資料請求)がひと目で分かる
・「今すぐ資料請求」の意図がより明確に伝わる
という効果が生まれています。
👀 2. ユーザーの「視線」を読む|ヒートマップの活用
デザインは「こう見えるはず」という感覚だけで作るものではありません。
そこで役立つのが ヒートマップ。
▲ ユーザーがどこを見て、どこで離脱しているかが色で分かる(赤がよく見られている)
▲ ユーザーがどこをクリックしたか分かる(赤がよくクリックされている)
・見せたい要素が読まれていない
・ 途中でスクロールをやめている
・ ボタンまで到達していない
こういった“実態”を把握できます。
デザインは感覚ではなく、データを分析し、それを基に改善することで「伝わるデザイン」になるんです。
🧭 3. “見た目+体験”で考える|視線の流れでデザインは変わる
デザインは「きれいに見せること」だけではありません。
サイトに訪れたユーザーがページを見たとき、どんな順番で情報を読むかを考えることがとても重要です。
そこでポイントになるのが、
Z型・F型と呼ばれる“視線の流れ”のパターン。
🔶 Z型:キャッチコピーやボタンを見せたい時に強い流れ
視線が 左上 → 右上 → 左下 → 右下 とZを描くため、
・左上にロゴやキャッチコピー
・右上にアクションボタン
・下段に詳細やメリット
というように、読まれる順番を前提に配置していくと、伝わりやすさが一気に上がります。
🔷 F型:文章が多いページで自然に起こる読み方
ブログや記事では、視線が “F”の形 で流れます。
・左側の見出しで止まる
・上から順にざっと読む
・興味があればさらに読み込む
こんな動きが自然と起こるので、
・見出しを分かりやすくする
・重要なワードは太字に
・箇条書きを入れる
こういった工夫が“読みやすさ”につながります。
✨ 視線誘導=「使いやすさ」を作る要素
「どこから読まれるか」「どこで迷うか」
これらはすべて、ユーザーがスムーズに読めるかどうかにつながります。
見た目が綺麗でも、
「見せたい情報が視界に入らない」「ボタンに視線が流れない」「読んでいて疲れてしまう」
こんな状態では、せっかくのデザインが生かされません。
🔍 専門用語でいうと…
実はこうした
・見た目としてどう配置するか(UI)
・読みやすさや流れをどう作るか(UX)
(UX)という考え方が、デザインではとても重要なんです。
でも、難しく考える必要はありません。
「どんな順番で読まれるか?」を意識するだけで、デザインの伝わり方がガラッと変わる。
「迷わず読めて、自然と行動につながるデザイン」がとても大切です。
🌟 私が目指すデザイン
美しさがあって、使いやすい。読みやすく、迷わず動ける。
そして、目的が達成される。
そのバランスを追求するのが、私のデザインスタイルです。
「見た目の綺麗さで惹きつけ、体験で信頼を積み重ね、導線で成果につなげる。」
デザインは“飾る”ためのものではなく、伝えたい想いを形にして、行動を生むためのツールであると考えています。
🌿 まとめ|“いいデザイン”は目的から始まる
①見た目は入口
②体験と導線でユーザーが動く
③データで改善すると成果に近づく
デザインは「おしゃれさ」だけでは語れません。目的にまっすぐ向かうことが、結果的に“美しいデザイン”につながります。
「かっこいい」よりも「届く」。そんなデザインをこれからも作っていきます。